介護にボイスパワー

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コラム

私の両親は茨城県の北部で夫婦二人で暮らしています。

今年95才と88才で、お互いがお互いをみる老老介護状態でした。

 

そんな生活が、今年の初めに、母親が骨折して入金生活を余儀なくされたことから、劇的に変わりました。

 

父親はしっかりはしてるのですが、料理が全く出来ません。
お湯を沸かすことも出来ないのではと思うほどです。

 

学生時代に、寮生活でご飯を炊くという当番になり、黒焦げにしたことがあり、

それ以来料理当番から外されたことがあるという料理音痴です。

 

なので、

母親の入院中は、姉と弟と私の3人で、できるだけ交代で帰省して、

父の面倒をみよう、それが出来ないときはヘルパーさんにお願いしようということになり

 

定期的に帰っているのですが
母親が入院して、父親一人で生活することになると話し相手がいないので、
(近所のお友達も既に亡くなっている人ばかりで、男では最長老になっています)

 

毎日リビングの一人用のソファに座って、一日中テレビを見る生活です。

 

去年までは車を運転している位、しっかりした人だったのですが、

(そんな歳で!とお思いでしょうけど、田舎は車がないと生活がしにくいのです)

 

去年免許を返上してから、緊張する事がなくなったせいなのか、少しずつボケが入ってきて、昔のことはしっかり覚えているのですが、今日が何曜日か覚えていられなくなりました。

 

そして、最近は寝ている時間も長くなり、食も細くなってきました。
(着替えは一人で出来るし、家の戸締まりなどは忘れずにしてはいます)

 

母親の状態もなかなか良くならず、入院生活は、まだまだ続くと言われてます。

 

私は、こんなことになるまで父親とはあまり話したことがありませんでした。

 

正直、厳格な父親が苦手でした。

 

向こうからあまり話すことをしないことを幸いにこちらもなるべく話さず、

 

帰省してもリビングから自分に部屋に帰ってしまい、
結婚してからもそんな感じだったので、奥さんには
「私一人残して、どうしてすぐいなくなるの!」
と苦情を言われてました。

 

ただ、今回の状態になって、一人で帰省して、父親の介護をするようになり、

 

なるべく話そうと心に決めて
食事のたびに話しをするようにしました。

 

父親の食事はゆっくりです。
入れ歯も合わなくなり、硬いものが食べられません。

 

話し相手になることで
途中で話しをするので、さらに食事時間は長くなります。

 

だいたい1食につき、1時間半から2時間かかります。

 

それでも私と話しをすると、少しずつ頭が冴えてくるのか、一日の終わりの夜には、饒舌に昔話をすることがあります。

 

同じようなことを話すのですが、初めて聞いてような感じで相づちを打ちながら、

 

こちらからも質問をして、時々初めて聞く話をしてくることもあり、結構面白いです。

 

父親から、父親の若い頃の話、家、家族、親戚、近所の話しなどを聞くのは、ほとんどなかったので新鮮でした。

今月、帰るとき姉から

寝ている時間が長くなり、朝も食事を摂らなく、お腹が空かないので一日1食の時もあるようで、痩せてきていると話を聞き、大丈夫かなぁと思いながら帰省しました。

 

半月ぶりに会った父親は
ひげも数日剃ってなくて伸びていました。
精気もなくなっているような感じでした。

 

本人も「長生きなんかしてもつまらないぞ、お腹も空かないので食事も仕事として食べてるだけだ」
と言って、明るい様子ではありません。

 

週3回のデイサービスも朝起きるのが出来ないので、ずっと断ってばかりになってました。

 

それでも食事をするときは、なるべく話そうと思い、父親からの質問には答えて、こちらからも質問を投げて、なるべく昔の事や近所の事を聞き出すような話しに持って行くようにしました。

 

話したからといってすぐに状態は良くはならなかったのですが、私が帰省して6日目、東京に戻る当日には、食事をする時間が、午前中になり、昼も2時近くですが、食べてくれました。

 

そして東京に戻ってから、電話をすると夕食を食べたとはっきりした声で応えてくれました。

翌日は、自分で起きて、デイサービスも行ったと言うではありませんか!

受け応えもはっきりしてます。

 

奥さんからも「あなたと長話をしたせいで元気になってきたんじゃないの?。やるねー」
と言われました。

 

ボイスパワーというのでしょうか?

 

声の波動が、相手に届くことで、その人の声の波動も整い、体調も良くなることがあります。

私とのやりとりで、もし体調が良くなったのなら、それは私のボイスパワーが、父親に元気を与えたのだと思います。(与えたのだと思いたいです)

親孝行はほとんどしてませんが、こんなことで元気になってくれるなら、これからも定期的に帰って、元気を与えたいと思った出来事でした。